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2008年5月15日 (木)

苦痛と悦びの後に

午前2時、仮眠終了。

遅めの夕食をとった後、午前3時半からタクシーに乗車。


午前5時。
河川敷に到着。運賃は4000円弱。



「寒いですねー」
「だよねー。クロ君大丈夫?」
「多分大丈夫です・・・」



河川敷には雨が降っていた。
気温は9度。


「それじゃー、朝練やっちゃおうか。」


団長が言った。





本番当日の午前5時に、
雨風に晒されながら朝練させる団長ってなんなの?




「ノリ(団長の名前)、さすがにこれはないわ・・・。」
「9度らしいよ?こんなんで風邪ひいたらどーすんの・・・。」

「あぁ、俺もそう思う・・・。」


団長もこの寒さに震えているようだった。



とりあえず声出しの練習して体を温めることに。
橋の下で「オース!!」と何度も大声で叫ぶ。
ほとんど夜明け前みたいな天気のときに俺たちはなにをしているのだろう。


体が温まってくると、少しだけ型の練習。

本番当日なのに、また怒られていた。
俺はいったいなにをしているのか。

そんなつらい日々でした。
体育祭が終わった今、ゆっくり疲れを癒しているところです。






「よーっし、練習終わり!!」
「うっす!!」

団員たちが団長のもとに集合。


「これで応援団の練習は本当に終わりだから。
 あとは本番だけだかんな。わかったな!!」
「うっす!」


「もうやれることはやったから、あとは本番で頑張るだけだからねー!」
「はい!!」



「疲れたね,クロ君。」
「ホントだよねー。」
「うん・・・,クロ君はすごいよ。」
「そう?」
「だってさ,クロ君いっつも怒られてたじゃん。
 殴られたり胸ぐらつかまれたりさ。」
「あ~・・・,アレはきつかった(笑)」
「ケイ君はすぐやめちゃったもんね。すごいよ。」


女の子のことを忘れるため,なんて言えないや。

「そんなエラくなんてないよ,俺は。」
「私も女子の中で一番ヘタでさ。先輩にいっつも怒られてたもん。
 昨日までずっとやめたいって思ってたしさ。でもクロ君がいてくれてよかった(笑)」
「俺なんか足引っ張ってるだけだし,いなくても同じだよー」



この人に彼氏がいなかったらこの会話でトキめいてたかも。
スカトロ野郎の彼女でした。


「あれ、ノリ。今何時?」
「7時半。」
「点呼は7時50分からだよ?」

「・・・・・・」
「どーしよう、ノリ。」



「走れーッ!!」




応援団全員が走り出した。


足以外にも肩とか背中を痛めてると、走るのがツライよね。





俺は遅刻した。















色々なことがありましたね。
当日にもかかわらずあんなに練習させられるとは思わなかった。
拳を地面に叩きつけるような型が何度かあるのだけれど、
その練習のし過ぎで拳がひどいことになっていた。

地面に叩きつける部分。
拳を握ると、皮と骨が動くではないですか。
本来なら一緒に動くではないですか。


なぜか動かすときに、皮と骨がズレる。
ギチギチいう感じ。
皮がいくらかたるんでしまったり。

もしかして、けっこう大変なことになっているのかしら。



まぁいつか治るだろうと。








応援合戦は午後の部だった。


雨で競技はどんどん流れていった。
1年ができた競技は一つだけ。ラクだから全然構わないけどさ。


応援合戦の準備が始まる。
衣装はやっぱり学ラン。学ランの下は上半身裸。

寒いぜ。



やれるだけのことはやった、と自分に言い聞かせた。
大げさな型のミスはないから大丈夫。
ダメ出しされずに全通しすることもできたことだってあったのだから大丈夫。





スタンドから拍手が起こった。

1番目の応援団の演舞がキマったからだろう。
ビシッと揃うその型を見ると不安になった。



またワッ、と拍手が起こる。



「・・・なんだよ、アレ」
「ナメきってますね」


団長と団員がつぶやく。



最初はカッコいい、ビシッとした演舞だったのに。
途中から大きく路線変更。

可愛らしい女性ボーカルの音楽が流れ出し、
学ランを着てた女生徒たちはチアガールの衣装に着替え、
男子生徒たちも学ランのままニコニコと手や腰を振り。

みんな笑顔。とにかく笑顔。



「ヘーイ☆」なんて笑顔。





「おまえら。」
「はい。」

「俺らの応援団に笑顔はいらねー。
 最後まで絶対に歯なんて見せんじゃねぇぞ。
 笑うのは終わってからだからな。」
「団長。今までの練習のこと思い出したら笑えないです」

「いいぞ、お前。その調子でいけよ。」
「はいッス」



 

その後、また別の応援団の演舞が行われる。
やっぱり笑顔。どの応援団も、最後には笑顔だった。


アナウンス。
次は自分たちの番。



団長のかけ声。
それに続く団員たちの叫び声。

列をそろえながら、一斉に駆け出した。









あの時のことを思い出すと,今でも興奮する。
鮮明にあの時の光景がよみがえってくる。

・・・嘘。

本当はそんな鮮明に思い出すことなんてできないの。



「あの時の光景」なんてわからない。
思い出せるのは,今も残る拳の痛みと,大きな拍手の音だけ。





型をこなすとき,呼吸は止めなければならない。
そうしないと早いリズムの通りに体を動かすことが出来ないからである。

呼吸を止めて,一心不乱に腕を動かす。

肩にはあまり力を入れない。
入れるのは第2関節より先だけ。





必死に演舞をこなす。

だけれど,拍手の音は全然聞こえてこなかった。


(なんだお前ら。さっきまであんなに拍手してたじゃんか。)

(笑顔笑顔の応援団にはあんなに拍手してたじゃんか。)


ちくしょうめ。

地面をうつ拳が強くなる。
ヒビが入ったのではなかろうか,という気がした。



ホントにヒビが入ってたらヤだな(´・ω・`)




これまで拍手無し。





呼吸もせず,ひたすら型通りの動きを。
もう緊張はなかった。

演舞後半。
音楽がかかる。明るい曲とはもちろん違う。

和風な曲。
愛と希望だけが友達だちさ,なんてフレーズは絶対に合わない曲。
笑顔なんていらねえ。

他の応援団が「ヘーイ☆」と言っても俺達は「ハッ!!」と叫ぶ。


拳の痛みなんて気にしない。
肩の痛みも気にしない。

スタンドで見てる奴らを沸かせられるなら腕が壊れてもいいと思った。


そうでないと,俺がここまで泣きながら歯を食いしばって
頑張ったものが全て無駄になってしまうから。

演舞のラスト。
一番速い型に入る。

本番当日の朝までダメ出しを受けていた型だった。



疲労もピークに達する頃。
あと少し。そんな思いが体を突き動かしていたように思う。



ミスは無かった。型の途中でよろけもしなかった。
コレまでで一番の出来だと確信した。

型からそのまま「気をつけ」の姿勢に入り,
「ありがとうございました!!」と全員が叫ぶ。


なにも考えられなかった。
口は開けない。息切れは全て,鼻でやり過ごす。










顔を上げると,初めて聞こえる拍手と歓声。
それはとても大きな歓声で。それがとても嬉しくて。

直立不動しなければいけないのに,
今すぐガッツポーズでもしたい気分だった。




演舞後。場外へ駆けていった。


「早く出ろ・・・ッッ」と言う団長の顔は。声は。
「わかってるよ・・・ッ」という,3年の先輩たちの顔は。声は。




場外。団員全員が集まり,円になる。


演舞終了を泣きながら団長が告げた。



「今日の演舞は,今までで一番の出来だったと思うから・・・。
 たとえ一番になれなくても,俺たちの中で一番の思い出だから,
 みんな,ありがとう・・・」

「ごめ・・・っ,ちょっと今,しゃべれそうにない・・・。先に言って・・・」

「俺だってしゃべれねーのに・・・(笑)
 えっと・・・,俺ッ,みんなと一緒にこうやって応援団できてよかったよ。
 ・・・やめてくれって,
 そんな目で見られたらこっちまで泣き,泣きそうになるじゃんか!!
 ・・・ごめん,あんまいいこと言えないけど,ホントにありがとう・・・」


「みんな,ホントにありがとう・・・ッッ」

3年の先輩たちが頭を下げる。

あの人たちの顔は,涙でくしゃくしゃで。
でもたしかに嬉しそうで。笑顔で。
それを見る俺の顔は。

「ホラ,団長!」



他の3年に急かされ,団長が円の中心に出る。
少し苦笑い。いつもの「怖い」という印象は無かった。
彼も顔を涙で濡らしていて。
落ち着いてから,震える声でようやくしゃべりだした。


「俺は3年間をこの応援団に賭けてきて・・・
 そのせいで皆には厳しくしちゃったりしたよ。
 でもそんな俺に,ここまでついて来てくれて,
 ホントに,ホントにありがとうございました・・・ッッ!!」

団長が頭を下げた。




俺は泣いた。
皆泣いていた。





そして,1年生と2年生は
「ありがとうございましたっっ!!」

と叫んだ。
無理やりに声を出さないと,震えて言葉にならなそうだったから。



「よしっ,ここじゃ邪魔になるから,移動するよ!」
「はい!!」



ぞろぞろと移動する団員たち。

そんな中,肩を叩かれる。


「クロ。」



団長だった。

「はい。」
「お前,肩痛いのによく頑張ったよ。
 俺にあんなにどつかれたりしたのに,よく頑張ったよ・・・。」
「・・・はい」

「今日まで我慢してくれてありがとうな・・・」



やめろよ・・・,せっかく落ち着いてきたのに。また泣いちまう・・・。

「先輩。俺,来年も応援団入りますよ。再来年も入ります。」
「・・・ああ。来年はよ,お前が後輩に型を教えられるようになれよな・・・」

「今日から型の練習しときますよ。」

そう言うと,少し団長は吹き出した。
そして,涙を拭い,笑いながら「当たり前だ,バカヤロー」と言った。

あぁ,その時の俺の顔は。






死ぬほど苦しかった。死ぬほど辛かった。
でも頑張って良かったと思う。

先輩たちの顔を見て,そう思った。



その後,体育祭は終わり。
応援団内での打ち上げがあった。

OBが持ってきたジュースのかけ合い。
お茶ではなく,コーラ・ファンタ・カルピス・カルピスソーダなど,
ベタベタするものでも容赦なくぶっかける。


髪や制服がひどいことになってしまった。

けれど楽しかった。



そしてファミレスで夕食。

「最初はグー!ジャン,ケンポン!!」
「俺ッスか!?」
「お前だーッッ!!」

じゃんけんで負けた奴の顔にカラシを塗りたくる。
鼻の下の目の下はかなりツライ。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!!」


トイレに駆け込む俺の姿が。
そして戻った頃には,頼んだ料理が減っている。どういうことだ。




そんな風にして,打ち上げは終わっていった。
これで応援団も終わりなのである。



ほっとするような,寂しいような。


でもまずはこの疲れを癒そうか。
「死ね。氏ねじゃなくて死ね」なんて思っていたのに,
「ありがとう」と団長に言おうとさえ思ってしまった。洗脳ってやつだろうか。


思えば,あの時はマジだった。












































・・・あれ?
でも応援団に入った動機ってなんだっけ。



いや,忘れるはずもない。
「モモ」という少女のことを忘れるためだった。


・・・はたして,当初の目的は達成されたか?
否,断じて否。
全然,全くもって達成されていない。なんじゃこりゃ。


途中からもうすり代わってるじゃないか。




思わぬ成果は得られたけれど。
これはちょっとどうだろうか。



・・・なんて,何を書いているのか。俺は。




でも事実。忘れることは出来なかったわけで。
体育祭の振り替えということで休日となった今日,
再び中学校へ行ってしまったわけで。






なーんも変われてないな,俺(笑)



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コメント

よく頑張ったな。
うん、お前はホント頑張り屋さんだ。
よかったじゃない、うまくいって。
うん、ホントよかった。

まあ、これからは毎日校門で待ち伏せしなさい(´・ω・`)
会えないなんてことはないんだからさ(^ω^ )


最近Sound Horizonにめっちゃはまりましてな、うん、いいよサンホラ。
クロも聞きな

投稿 敷島 | 2008年5月15日 (木) 01時10分

おつかれぇぇ~~!!
むっちゃすごいやんww
ぅちもがんばらんといなんのやなぁ

ってか学ランかっけ~~lovely
ちょっと妄想したわ・・・
ゃばぃ^^  やばすぎるでぇ~~
クロが・・・ ぶはっっ!!
無理やったゎ藁藁

でも楽しそうで嬉しいよ
喜んでます><
ジュースぶっかけますupup

まだやることいっぱいあるんやね。。。
ガンバって会うんだよ!!
でもいつか会おうね^^
うちもがんばるカラ♪
じゃがんばって!!
恋も勉強もだよsign03

投稿 もも | 2008年5月15日 (木) 19時16分

なーんも変われてないな,俺(笑)
↑ほんとに?

変わったと思うよ。

投稿 バニ | 2008年5月15日 (木) 21時37分

クロホントお疲れ様><

もぅお疲れ様しかいぃようがなぃけど
ホント頑張ったね^^
いつも見てたよ藁ミッキー空とベルからさぁw

クロヮホントかわったよ!!!
無茶苦茶かわったよ!!!

クロが変わったから次ヮミッキーが
かわるばんかぁ藁

んまぁこれからもよろしくねw

今からがっこじゃぁぁぁあ!!!!ばーべQ・・。

投稿 ミッキー | 2008年5月16日 (金) 08時51分

会社なのに泣かされました(;_;)
なんていい話…自分の学校ともかぶるからシンクロ率高い高い…
クロさん絶対かっこよくなってるよ!
中学校にいって後輩の子に言いたい事もいえると思う!

これからも頑張って~(>_<)応援してます!

投稿 よー | 2008年5月16日 (金) 12時51分

本番お疲れサマでしたー!!!!
文を読んでいて演技後にゎきっと本人たちにしかわからない空気、
があったんだろうなって思いました。
クロさんにとって素敵な経験になったんですね♪
なんだかいいことですっ


それと「変わってない」なんてことゎないと思いますょ!
これがけ必死に1つのこと頑張ったんですから、
少なくとも根性ゎかなり強くなってるはずですっ!!!!

投稿 莉沙子 | 2008年5月16日 (金) 23時26分

お疲れさまです!
感動(T∧T)

投稿 まつ | 2008年5月17日 (土) 12時39分

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